「全部やっといて」で出てくるもの

作りたいものをぼんやり伝えて、あとはよろしく、と投げたことがある人は分かると思うんですけど、 返ってくるもの自体は悪くないんですよね。悪くはないんだけど、薄い。 どこかで見たことのある形で、自分が作りたかったものとは微妙に違う。

で、直そうとすると今度は、どこがどう違うのかを説明できない。自分が何を作りたかったのかを、そもそも決めていないからです。

最初にやったのは、壁打ちでした

いきなり作らせていません。ChatGPTで話しながら、設計書を1枚作りました。

どんなコースを置くのか、どういう機能が要るのか、誰に向けるのか、何をやらないのか。 頭の中にあるものを喋って、質問されて、答えて、また整理してもらう。 それを繰り返して1枚にまとめてから、はじめて作る側のAIに渡しています。

順番で言うと、決めるのが先で、作らせるのはそのあと。この1枚があるかないかで、そのあとの往復の回数が全然違います。

壁打ちのやり方そのものは「AIとの壁打ちを極める」でやっています。 ここでは、壁打ちで何を決めたのかだけ見せます。

決めごと その1 ── 目的を1行にする

いちばん最初に書いたのがこれです。実物の1行を、そのまま出します。

ここだけ覚える

AI初心者が、AIに仕事を任せられる人へ近づくこと。

短いですよね。短くしたのには理由があって、迷ったときに読み返すためのものだからです。 長い理念は、迷っている時に読み返しません。 機能を足したくなったとき、コースを増やしたくなったとき、この1行に戻って 「それ、本当にここへ近づくか」だけを見る。近づかないものは、便利そうでも足さない。

決めごと その2 ── 作らないものを先に書く

足すものより先に書いておくほうがいいと思うんですよね、作らないもののほうを。 実際のリストから抜き出すと、こうです。

  • コースを探す検索機能
  • サイトの中の掲示板やコメント欄
  • ランキング
  • 毎日ログインさせる仕掛け
  • 数字がずらっと並ぶ分析画面

どれも、あったら便利そうに見えるやつです。実際、頼めば作れる。 でも目的の1行に照らすと、どれも「AIに仕事を任せられる人へ近づく」には効かない。作れることと、作るべきことは違うという判断を、先に紙にしておく。

これを書いていないと、AIは親切なので、頼めば何でも足してくれます。 止める役は自分しかいません。

決めごと その3 ── 言葉をそろえる

地味ですが、いちばん効いたのはこれかもしれません。 使う言葉と、使わない言葉を表にしました。これも実物です。

使う使わない
実践済み受講完了
コース / STEP授業
やってみる勉強する
Missionテスト

右の列は、どれも普通の言葉です。間違ってもいない。 ただ、右を使うと学校の匂いがする。ここは勉強させる場所ではなく、触ってもらう場所なので、そこがぶれると全部ぶれます。

そしてこの表があると、言葉をそろえる作業を人がやらなくてよくなります。書くのも直すのもAIなので、表を渡しておけば毎回そのとおりに書いてくれる。 いま読んでいるこの記事にも、「受講完了」は1回も出てきません。

軸をずらすと、途中で作り直しになる

正直に書いておくと、僕は途中でコースの構成を一度まるごと作り直しています。 あれもできる、これもできると足していった結果、最初に決めた軸から離れて、 何のための場所なのか自分でも説明できなくなった。

軸が決まっていると、作り込みすぎずに済みます。

これは作ってみて分かったことなんですけど、軸があると削る判断が速くなるんですよね。 余計なジャンルを足さない、機能を盛らない、1つのことに寄せられる。 逆に軸が無いと、思いついたものを全部足すことになって、広くて薄いものが出来上がる。

実際に使った、壁打ちのプロンプト

で、その壁打ちをどう始めたか。 頭の中はぐちゃぐちゃのままでいいので、フィルターなしで全部ぶちまけて、向こうに処理させる形にしました。 実際に使ったプロンプトを、そのまま出します。 このあと最後のSTEPで、あなたにもこれを使ってもらいます。

雑な思考を、初稿まで育てるプロンプト

以下に、私のフィルターなしの思考をブレインストームします。それらは乱雑で、不完全で、順序がばらばらです。それが意図です。アドバイスや解決策に飛ばないでください。まず、私が言ったことを処理してください。

あなたの仕事は、これを5つのステップで処理することです。各ステップを最終出力の前に私に見せてください。 1. 整理する。私が言ったことを明確なテーマにグループ化します。各テーマを平易な言葉でラベル付けしてください。 2. 貫く線を見つける。私が到達しようとしていた中心的な議論やアイデアを特定します。たとえ私が直接言わなかったとしても。1文で述べます。 3. 矛盾をフラグ立てる。私が自分自身に反論した箇所や、2つの互換性のない立場を同時に持っていた箇所を私に見せてください。それらを解決しないで。ただ名前を付けてください。 4. 欠けているものを挙げる。私が示唆したけど言わなかったこと、挙げたけど答えなかった質問、そして私が気づかずに抱いている前提を指摘してください。 5. 正直な読みをください。私はどこで正しいか? どこで自分を騙しているか? 思考が強い箇所はどこで、どこで圧力がかかると崩れるか? そして、5つのステップすべてを実行し、私が実際に言おうとしていたことを捉えた、クリーンな初稿を書いてください。構造化され、首尾一貫し、私の声で。

このプロンプトの下に、思いついたことを順番も気にせず喋って貼るだけです。 矛盾もそのまま出す。向こうが整理して、矛盾に名前を付けて、自分が本当は何を言おうとしていたのかの初稿まで書いてくれます。 そこから質問に答えて、決めごとの1枚に育てていきました。

つまずきやすいところ

つまずきやすいところ

決めごとを書く時間があったら、先に手を動かしたほうが早い気がする。

1枚書くのにかかるのは、往復の何回かぶんです。決めずに作り始めると、出てきたものが合っているかを判断できないまま直させ続けることになって、そちらのほうがはるかに長くなります。僕は決めた側と決めなかった側の両方をやりました。決めた側が速いことだけは断言できます。

ここまでのまとめ

ここだけ覚える

決めるのは目的の1行・作らないもの・言葉の決まりの3つ。 ここだけはAIに丸投げしない。

終わったら、ここが言えるか確かめる
  • 作るものの目的を、1行で言える
  • 作らないものを3つ書き出した
  • 使う言葉と、使わない言葉を決めた